【目的】
卵巣癌に対する治療戦略は拡大しており,PARP阻害剤療法の重要性が増している.当科でPARP阻害剤を処方した患者の有害事象(AE)の特徴を検討し,AEマネージメントを確立する.
【方法】
PARP阻害剤が保険収載されてから2022年9月までに当科で処方開始した患者,オラパリブ群(O群)47名,ニラパリブ群(N群)36名を対象とし,患者背景,治療方法,組織型,進行期分類,AEについて後方視的に解析を行った.
【成績】
患者年齢は,O群58.6±11.7歳,N群64.5±11.4歳であった.初発維持療法はO群79%(10/47),N群59%(21/36),ニラパリブの再発治療は6%(2/36)であった.進行卵巣癌はO群91%(43/47),N群97%(35/36)であった.高異型度漿液性癌はO群62%(29/47),N群69%(25/26)であった.CTCAE ≧Grade 3のAEはO群32%(15/47),N群42%(15/36)であり,既報と同等であった.AEによって出現時期が異なる.年齢や治療背景は重篤なAEのリスク因子とはならない.
【結語】
当科では比較的安全にPARP阻害剤を使用できている.オラパリブでは貧血,ニラパリブでは血小板減少が特徴的であり,重篤な血小板減少は開始早期に出現しやすい.それぞれの薬剤の特徴に基づいた管理が治療成績向上に肝要である.
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