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第60巻 第1号

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特集 第143回学術集会優秀演題賞演題
当院で34週に骨盤位と診断された単胎症例の分娩転帰
木村 剛, 村越 毅, 原澤 孝綱, 近藤 有紀, 清水 陽彦, 清水 由実, 伊賀 健太朗, 今野 寛子, 安達 博
聖隷浜松病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 60(1):107-111, 2023

 妊娠中期の骨盤位から頭位への回転率を示した報告は多数あるが,妊娠後期の頭位への回転率やその分娩転帰を調べた報告は少ない.本研究では34週で骨盤位と診断され,頭位に回転した症例の分娩転帰,及び回転に関与する因子や回転後の転帰に影響する因子を検討した.
 2018~2020年に34週で骨盤位と診断され当院で分娩した単胎妊娠281例のうち,既往帝切後・子宮術後妊娠や子宮奇形,FGR・胎児異常・早産・早期破水の61例を除外した.主要評価項目は34週に骨盤位と診断された妊婦のうち分娩までに頭位に自然回転した症例の分娩様式とし,副次的評価項目は回転に関与する因子や回転後の転帰に影響する因子として,母体因子(年齢,身長・体重・BMI,分娩回数,ART,筋腫合併),胎児因子(推定体重,BPD,MVP,出生体重,頭囲)を検討した.当院では骨盤位症例は38週で帝王切開としている.統計手法はt検定,Fisherの正確確率検定,ロジスティック回帰を用い,p<0.05を有意差ありと判定した.
 対象となる220例のうち119例(54%)は頭位に回転せず帝王切開となり,101例(46%)が頭位に回転し,うち66例(30%)は経腟分娩,35例(16%)が帝王切開となった.帝王切開の適応は分娩停止が15例(43%),胎位異常が6例(17%)であった.頭位回転に関与する因子の検討では,経産婦が有意に頭位に回転した(p=0.002).頭位に回転後の帝王切開分娩に関与する因子の検討では,高齢,高BMI,初産,ART,筋腫合併といった因子が有意に抽出された.
 34週に骨盤位と診断された症例の約半数が頭位に回転し,経産婦がより回転しやすいとの情報は患者説明に有用である.

Key words:34 weeks gestation, breech position, cephalic position, spontaneous rotation, delivery outcome
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