子宮内膜症や子宮腺筋症に用いられるジエノゲスト(DNG)は不正出血の副作用を高頻度に認めるものの,コントロールが可能な患者は長期投与を希望することがある.子宮内膜症取扱い規約(第3版)ではDNGの長期投与の安全性が示されている.しかしながら,DNG内服期間と骨密度との関連は不明確であり,3年以上使用例の臨床研究はない.今回,5年以上のDNG投与例の血清E2値と骨密度に関して調査した.【方法】2019年6月から2021年7月の間にDNGが投与された116例中DNGを5年以上投与され,血清E2値と骨密度が測定されていた21例(18.1%)を対象とした.DNG単独投与17例(A群)とGnRHアナログ先行投与例や骨密度に影響を及ぼす疾患(SLE,RAなど)併存例4例(B群)に分類し検討した.【結果】DNG投与期間中央値はA群85か月,B群115.5か月であった.血清E2最低値の中央値はA群30 pg/ml,B群31.5 pg/mlで,A群の9例,B群の2例は30 pg/ml未満であった.DXAではA群1例が骨粗鬆症,7例が骨量減少,B群2例が骨量減少と診断された.骨密度の低下を認めた10例のBMI(kg/m2)は正常11例と比較して有意に低値であった(p=0.025).
【結論】DNGの長期間投与症例では経時的な血清E2値と骨密度の測定が不可欠であり,今後骨密度に関するコホート研究が必要と考える.
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