平滑筋肉腫は稀な予後の悪い疾患であるが,なかでも骨盤内発生した症例は特に稀であり,報告は非常に少ない.今回,骨盤内発生した非内性器由来の平滑筋肉腫症例を経験したため報告する.
症例は44歳4妊2産.腹部膨満感を主訴に前医を受診し,腹腔内巨大腫瘤を認め当院紹介受診となった.骨盤MRI検査で右付属器周囲に巨大骨盤内腫瘤を認め,右付属器腫瘍ないし子宮腫瘍が疑われた.開腹手術を行い,骨盤腔で右付属器と一塊になっている巨大腫瘍を術中迅速病理組織検査に提出し肉腫と診断された.子宮全摘出術,両側付属器切除術を施行し,最終病理組織診断で平滑筋肉腫の診断となった.術後は経過観察の方針となり,現在は再発なく経過している.
本症例では子宮・卵巣との連続性はなく,腫瘍の発生部位や術前画像より卵巣静脈から発生した骨盤内平滑筋肉腫が考えられた.平滑筋肉腫の治療法は,手術療法による完全切除しか有効な治療法は確立されておらず,完全切除を目指した切除ラインでの外科的治療が必要であり,術前画像検査で軟部腫瘍も念頭において治療することが重要である.
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