脱分化癌は「未分化癌と分化型類内膜癌成分が混在する腫瘍」と定義され,婦人科領域での報告は国内で10数例程度と稀であり,非常に予後不良とされる.今回我々は,急速に進行した子宮内膜原発脱分化癌の1例を経験したので報告する.
症例は53歳女性,2妊2産,既往歴および家族歴に特記事項はなかった.不正出血と下腹部痛を自覚し,急性腹症で当院へ救急搬送された.造影CT検査で骨盤内腫瘤性病変,多発リンパ節腫大,多発肺結節を認めた.造影MRI検査では筋層浸潤を伴う7 cm大の子宮腫瘍,左付属器領域に充実成分を伴う12 cm大の多房性囊胞性病変,傍S状結腸の播種を疑う病変を認めた.内膜細胞診は腺癌であり子宮または卵巣悪性腫瘍の多発転移を疑った.緊急で腹式子宮全摘出術,両側付属器切除術,大網切除術,骨盤リンパ節生検を施行した.病理組織検査では子宮内膜に類内膜癌(Grade1相当)と未分化癌の所見及び,両側卵巣には両側性・多結節状・多数の脈管侵襲を認め,子宮内膜原発脱分化癌(未分化癌+類内膜癌)StageIVB(pT3a,N1,M1)と診断した.術後管理の経過中に急速な腹腔内播種の増大,癌性リンパ管症を発症し術後37日で逝去した.
脱分化癌は本症例のように急激な転帰を辿る場合がありGrade3の類内膜癌より悪性度が高いとされる.標準治療はないため悪性度の高さや予後を含めた患者への情報提供を行いながら方針を検討する必要がある.
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