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第60巻 第4号

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症例報告
子宮憩室がダグラス窩に陥入して妊娠子宮嵌頓を来した全身性エリテマトーデス合併妊娠の一例
中本 博美1), 石川 博士1)2), 秦 利衣1), 廣澤 聡子1), 佐藤 美香1), 長澤 亜希子1), 鈴木 義也1), 岡山 潤1), 中田 恵美里1)2), 尾本 暁子1)2), 高田 章代3), 太田 昌幸4), 甲賀 かをり1)2), 生水 真紀夫1)2)5)
1)千葉大学医学部附属病院周産期母性科
2)千葉大学大学院医学研究院生殖医学
3)千葉大学医学部附属病院放射線科
4)千葉大学大学院医学研究院診断病理学
5)千葉大学真菌医学研究センター進化生殖学
関東連合産科婦人科学会誌, 60(4):573-579, 2023

 妊娠子宮嵌頓症は子宮が後屈したまま増大し,子宮底部が骨盤腔に陥入する状態である.経腟分娩は困難であり,子宮が嵌頓していることを認識せずに帝王切開を行うと膀胱損傷,腟壁裂傷をきたす.今回,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus,SLE)罹患女性へ妊娠子宮嵌頓症の診断で帝王切開術を施行したところ,子宮底部ではなく子宮憩室がダグラス窩に陥入していた症例を報告する.36歳の初産婦が妊娠11週でSLE合併妊娠の管理目的に当科へ紹介された.子宮は後屈で妊娠19週の内診で子宮腟部を確認することができず,経腟超音波で頸管の延長と内子宮口の頭側への偏位を認めた.妊娠30週のMRIで妊娠子宮嵌頓症と診断した.SLEの病勢が悪化し妊娠31週5日に緊急帝王切開術を施行した.子宮底部は小骨盤腔の頭側にあり,子宮右後壁の筋層が膨隆して子宮憩室を形成しダグラス窩に陥入していた.子宮を腹腔外へ挙上し体部の回転と頸部の過伸展を解除した後,体下部を横切開し児を娩出した.憩室の筋層は菲薄化し胎盤の癒着を認めたため,憩室壁を胎盤と共に切除した.組織学的には癒着胎盤であった.SLE合併妊娠では子宮筋層が脆弱となることがある.本例では妊娠中にSLEの病勢が悪化しており,胎盤付着部の子宮筋層が菲薄化し子宮憩室を形成した可能性が考えられた.

Key words:Pregnancy complications, Systemic lupus erythematosus, Uterine retroversion, Diverticulum, Placenta accreta
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