妊娠中に診断される悪性リンパ腫は6,000~10,000妊娠に1例と稀である.今回妊娠18週に左上腹部痛の精査で悪性リンパ腫と診断し,化学療法を行い生児を得た症例を経験したので報告する.
35歳G2P1,凍結融解胚盤胞移植妊娠.妊娠18週,前医でovert DMの管理入院中に左上腹部痛を認めた.MRI検査で脾内腫瘍,膵周囲・傍大動脈の多発リンパ節腫大を疑い,血清LDH・血清可溶性インターロイキン2レセプター(sIL2R)高値から悪性リンパ腫の疑いで,20週2日に当院へ紹介された.開腹リンパ節生検を行い,病理組織診断でびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫と診断した.血液内科との検討会で病状が悪化した際に化学療法を行う方針とした.24週に鼠経リンパ節腫大による下腿浮腫,血清LDH・sIL2Rの上昇を認め,病状の悪化と判断して28週にR-CHOP療法(50%dose)を1回施行した.治療効果があり病状も安定したため分娩後に治療を再開する方針とした.37週1日に予定帝王切開術で女児(2,977 g,Apgar score 8/9)を娩出した.産褥16日目,R-CHOP療法を再開し,計6コース終了後は部分奏効であった.出生後の児の発育,発達は正常である.妊娠期悪性リンパ腫は時期によっては妊娠中に化学療法を行うことを検討する.母体と胎児の状態を考慮し,化学療法を行い奏効し生児を得た症例を報告した.
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