【緒言】絨毛膜羊膜炎[chorioamnionitis,CAM]と臍帯炎は,近年Amsterdam Placental Workshop Group Consensus Statement(APWGCS)に基づき,StageとGradeでの評価が一般的になりつつある.APWGCSに基づいたCAMおよび臍帯炎の診断と臨床経過との関連を検討した.【方法】2019~2021年の当院分娩症例中,妊娠37~41週の新生児呼吸障害症例146例の胎盤をAPWGCSに基づき診断し,母体背景・分娩経過・新生児経過との関連を後方視的に検討した.【成績】146例のうち,CAM Grade 2は17例(11.6%),臍帯炎Stage 2は13例(8.9%)だった.CAM Grade 2では有意に分娩所要時間や破水から児娩出までの時間が長くなり,臨床的CAMや羊水混濁を認め,出生直後の血清CRP値が高値だった(p<0.05).臍帯炎Stage 2では,さらにCTGで胎児頻脈や高度一過性徐脈といった波形異常を有意に認めていた(p<0.05).初産93例の検討でもCAMや臍帯炎の重症度と分娩所要時間に関連を認めた(p<0.05).【結論】新生児呼吸障害症例では,重症のCAMや臍帯炎は,分娩所要時間や破水から児娩出までの長期化,羊水混濁・臨床的CAMなどの臨床徴候と関連があり,分娩管理時に留意する必要がある.
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