子宮内避妊器具(Intrauterine device以下IUD)挿入中の妊娠は,挿入していない妊娠に比べて,後期流産・早産,性器出血,臨床的絨毛膜羊膜炎,常位胎盤早期剝離の割合が高いため,早期に抜去することが望ましい1)とされているが,やむを得ず挿入したまま妊娠を継続する症例にも遭遇する.当院で2011年1月1日から2023年7月31日の期間に経験した,妊娠診断時にIUDが挿入されており,妊娠分娩管理を行った8例に対し,診療録より,患者の妊娠経過,転機について後方視的に調査した.8例中4例は,妊娠6週から妊娠11週に,IUDの抜去が可能であったため抜去していた.4例はIUDを挿入したままで妊娠継続した症例である.4例の初診時の腟分泌物培養検査はLactobacillus優位の所見であった.いずれの症例も,妊娠経過は異常なく,正期産となった.妊娠経過中に,後期流産・早産,性器出血や常位胎盤早期剝離となった症例は認めなかった.IUD挿入中の妊娠に遭遇した場合,基本的にはIUD抜去を考慮すべきだが,抜去が難しい場合はリスクを考慮し妊娠継続も可能と考えられると同時に,慎重に周産期管理を行っていく必要がある.
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