帝王切開創部に陥没性瘢痕を認め,過長月経や不正性器出血,続発性不妊などが生じる病態を帝王切開瘢痕部症候群(Cesarean Scar defect,以下CSD)という.CSDの概念は普及しつつあるが,比較的新しい疾患概念であり治療実施施設は未だ限られている.
当講座では2015年よりCSDに対し腹腔鏡下子宮瘢痕部修復術を実施している.当初は子宮マニピュレーターを挿入し子宮頸部を操作しながら膀胱を剝離していたが,現在は気膀胱を用いて膀胱剝離をおこなっている.加えて,現在は子宮鏡での瘢痕部周囲病巣の切削も追加した手術を実施している.
今回,当初の術式での手術実施群10例と改良した術式での手術実施群9例を比較した.両群で手術時間及び出血量に有意差は認めず,当初の術式では術中子宮穿孔を3例に認めたが改良した術式では1例も認めなかった.以上より気膀胱による膀胱剝離は有用で安全であることが示唆された.子宮鏡での切削については,切削の有無に関わらず術後全例に症状改善を認めたため治療効果を示すことはできなかった.今後さらに検討が必要と考える.
本論文では,当講座の術式の変遷を述べるとともに当初の術式と改良した術式を比較検討し報告する.
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