レボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS)は子宮内にLNGを放出し,月経過多・月経困難症症例に対して頻用されているが,長期予後に関する大規模な報告は少ない.今回,われわれは当院でLNG-IUS挿入から5年経過した119例のうち,追跡可能であった105例を対象として5年間留置できた完遂群と留置できなかった未完遂群に分け,更に未完遂群に関しては症状改善不良または合併症により未完遂となった未完遂群Iと,留置継続は可能であったが閉経,挙児希望により抜去した未完遂群IIに分けて適応症状・背景因子・原因・追加治療内容について比較検討した.
105例のうち,5年間留置できた完遂群は47例(45%),未完遂群Iは49例46(%),未完遂群IIは9例(9%)であった.適応症状別にみると,過多月経における完遂群が70%(33例),未完遂群Iが71%(35例)未完遂群IIが67%(6例)で,月経困難においても完遂群が30%(14例),未完遂群Iが29%(14例),未完遂群IIが33%(3例)であり,適応症状における完遂・未完遂に有意差は認めなかった.
一方で,背景因子別に検討を行ったところ,子宮腺筋症では完遂群が36%(19例),未完遂群I56%(29例),未完遂群II8%(4例)であったのに対して,子宮筋腫では完遂群が69%(16例),未完遂群I26%(6例),未完遂群II4%(1例)であり,子宮腺筋症で未完遂率が高く,子宮筋腫は完遂率が有意に高かった(p=0.018).
未完遂群Iの原因の内訳は,脱出57%,症状改善不良31%,骨盤腹膜炎,違和感が6%であった.未完遂の追加治療は,子宮腺筋症,子宮内膜症ともに手術療法が最多で約半数を占め,子宮筋腫では再挿入が最も多かった.
子宮腺筋症はLNG-IUSの長期予後不良因子である.
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