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第61巻 第1号

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症例報告
Follitropin deltaによる調節卵巣刺激後に重症卵巣過剰刺激症候群を発症した1例
渡邉 修平, 小林 未央, 三井田 美樹, 長谷川 祐子, 津久井 優美子, 飯塚 円香, 平石 光, 中里 智子, 北原 慈和, 岩瀬 明
群馬大学医学部附属病院
関東連合産科婦人科学会誌, 61(1):45-50, 2024
https://doi.org/10.60311/kjog.61-1.45

 卵巣過剰刺激症候群(ovarian hyperstimulation syndrome:OHSS)は,一般不妊治療や生殖補助医療における排卵誘発時に注意すべき疾患である.OHSSに対しては予防が最重要であり,特にFSH製剤による低用量漸増法などの調節卵巣刺激法は,OHSS発症リスクが低いといわれている.今回,ヒト細胞株由来の新しい遺伝子組み換え卵胞刺激ホルモン製剤であるfollitropin deltaを用いて調節卵巣刺激を行ったにも関わらず,重症OHSSを発症した症例を経験したため報告する.
 症例は30歳女性,0妊0産.多囊胞性卵巣症候群による不妊症に対し,近医で生殖補助医療が行われた.卵巣刺激にfollitropin deltaが使用され,1日投与量は最小量であったが,採卵後に重症OHSSを発症した.強い腹部膨満感を訴え,腹水貯留,乏尿を認めたため,当院へ救急搬送され,ICU管理下での集学的治療を要した.
 本症例ではfollitropin deltaの至適投与量は遵守されていたにも関わらず,重症OHSSを発症した.OHSSハイリスク患者に対しては,予防策を講じてもOHSS発症の可能性があることを認識し,慎重に治療を行う必要がある.またfollitropin deltaについては,特にOHSS発症リスクの高い症例への安全な投与について,今後もデータの蓄積が求められる.

Key words:OHSS, follitropin delta, rFSH, PCOS, PPOS
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