FDG-PET/CTは悪性腫瘍の術後再発の精査として良悪性の鑑別に有効であるが,稀に慢性炎症を背景とした肉芽腫で高集積を認める場合がある.今回,胃癌と卵巣境界悪性腫瘍の術後経過観察中にFDG-PET/CTで臍転移を疑う集積を認めたが,病理組織診断で異物肉芽腫であった1例を経験した.症例は74歳2妊2産.21年前に早期胃癌に対して開腹幽門側胃切除術を行い,病理組織診断はadenocarcinomaであった.5年前に卵巣癌疑いに対して腹式単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,虫垂切除術を行い,病理組織診断は右卵巣のmucinous borderline tumor IA期であった.以降,胃癌と卵巣境界悪性腫瘍ともに再発なく経過した.卵巣腫瘍術後5年で臍部皮下に1 cmの腫瘤を自覚し,FDG-PET/CTでSUVmax 9.8の集積を認めた.胃癌または卵巣境界悪性腫瘍の臍転移を疑い,腫瘍摘出術を行った.胃癌手術時の瘢痕に一致した筋膜内の腫瘤を摘出した.病理組織診断は縫合糸と異物反応で生じた肉芽腫性病変で悪性所見は認めなかった.FDG-PET/CTで高集積を認めた異物肉芽腫の報告は稀である.術後長期間経過していても異物肉芽腫発症の可能性があることを念頭に置く必要がある.また,FDG-PET/CTで異物肉芽腫と悪性腫瘍を鑑別するのは困難な場合があり,確定診断のためには病理組織診断が必要と考える.
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