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第61巻 第1号

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症例報告
中期人工妊娠中絶手術後に発症したMycoplasma hominisが起因菌の子宮筋腫膿瘍破裂に対して開腹子宮筋腫核出術を施行した1例
小泉 真由子, 本田 倫子, 越田 寿々奈, 永山 嶺花, 渡邉 琢磨, 平塚 大輝, 中林 正雄, 土屋 裕子, 松山 玲子, 土谷 聡, 藤本 晃久, 西井 修
帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 61(1):57-64, 2024
https://doi.org/10.60311/kjog.61-1.57

 子宮筋腫膿瘍(Pyomyoma)は子宮筋腫に化膿性病変が生じる稀な合併症である.今回中期人工妊娠中絶手術後に発症したMycoplasma hominis(M.hominis)が起因菌のpyomyomaに対し開腹子宮筋腫核出術を施行し軽快した1例を経験したので報告する.
 症例は31歳2妊0産(2回の人工妊娠中絶歴),約5 cmの子宮筋腫合併.妊娠13週時に近医で手動吸引法により中期人工妊娠中絶手術を施行し,約1か月後に腹痛と発熱を主訴に当院に救急搬送された.骨盤内感染症(PID)による腹膜炎が疑われたため抗菌薬投与を開始したが軽快せず,診断かつドレナージ目的に腹腔鏡下手術を施行した.骨盤内に子宮筋腫膿瘍の破裂を認めたため開腹手術に移行し,ドレナージ術と筋腫核出術を施行した.術後は軽快し退院に至ったが,その後起因菌がM.hominisであることが判明した.同菌に感受性のある抗菌薬は使用できていなかったが,早期に外科治療に移行したことで軽快に至ったと考えられた.
 子宮筋腫を合併し,妊娠を契機に発症した保存的治療での軽快が乏しいPIDでは,pyomyoma及びその破裂の可能性を考慮し早期に外科的治療に移行することを検討する必要がある.また,起因菌としてM.hominisの可能性も考慮し,嫌気培養の追加や抗菌薬の選択を行うことも有用である.

Key words:leiomyoma, induced abortion, pyomyoma, ruptured pyomyoma, mycoplasma hominis
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