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第61巻 第4号

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原著
後期分娩後異常出血の重症化リスク因子の検討:当院での26例の後方視的研究
脇坂 昌平, 清水 陽彦, 織田 愛実, 松崎 敬彦, 近藤 有紀, 濱田 友里, 清水 由実, 伊賀 健太朗, 今野 寛子, 精 きぐな, 安達 博, 村越 毅
聖隷浜松病院総合周産期母子医療センター産科
関東連合産科婦人科学会誌, 61(4):371-376, 2024
https://doi.org/10.60311/kjog.61-4.371

 後期分娩後異常出血(Secondary postpartum hemorrhage:SPPH)の原因は弛緩出血,仮性動脈瘤,動静脈奇形,胎盤遺残,胎盤ポリープ等があり,リスク因子には多産,帝王切開,分娩後異常出血の既往等がある.しかし,子宮収縮薬のみで止血可能か,輸血や外科的介入を要するかに関わる重症化因子の報告は我々が知る限りないため,重症化リスク因子について検討した.
 当院の16年間で経験したSPPH 26例を対象とした.重症化リスク因子として,患者背景,分娩時因子,画像検査所見と原因診断について,重症度への関連を検討した.重症度は子宮収縮薬のみで治療した「軽症群」10例,輸血や子宮動脈塞栓術,子宮摘出術等の外科的介入を要した「重症群」16例に分類した.非初回妊娠での過去の分娩後異常出血の既往が重症度に関連があった(p=0.03).画像検査で子宮内の腫瘤や異常血流,extravasation(EV)のいずれかがあるもので重症群が多かった(p=0.014).重症群のうち,子宮内の腫瘤や異常血流がない3症例は造影CT検査でEVを認め,分娩後動脈性子宮出血(PRACE)と診断した.
 SPPHは画像検査で子宮内の腫瘤や異常血流,EVといった異常画像所見ある場合に重症化しうると考えられた.また非初回妊娠では分娩後異常出血の既往がある場合は重症化する可能性が示唆された.

Key words:bloood transfusion, interventional radiology, postpartum hemorrhage, secondary postpartum hemorrhage, ultrasonography
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