【緒言】
9番染色体トリソミーモザイクは心奇形などを合併する周産期死亡率の高い予後不良な染色体異常である.今回我々は当院で周産期管理を行った胎児9番染色体トリソミーモザイクの1例を経験したので報告する.
【症例】
39歳.G2P1(第1子は妊娠36週で常位胎盤早期剝離による死産分娩).タイミング法で妊娠成立後,妊娠11週の頭殿長より分娩予定日を決定,当院で妊婦健診を行っていた.なお,無侵襲的出生前遺伝学的検査や羊水検査の受検はなかった.妊娠21週の胎児超音波断層法で大動脈縮窄症を疑い,精査を行った.妊娠23週時に胎児発育不全(-2.0SD),単一臍帯動脈,右大動脈弓,左上大静脈遺残と診断した.妊娠31週には推定体重1,071 g(-3.0SD)となったことから入院管理とした.妊娠34週6日,胎児機能不全の診断で緊急帝王切開術を施行した.児は女児,1,119 g(-4.0SD),Apgar score 7/8点(1/5分値),上記診断の他に眼瞼裂斜上,耳介低位,小顎を認めた.さらに,出生後の染色体検査で9番染色体トリソミーモザイクと診断された.
【結語】
今回我々は胎児発育不全に右大動脈弓を伴った9番染色体トリソミーモザイクの1例を経験した.本症例のように右大動脈弓を合併する場合もあり,9番染色体トリソミーモザイクは多彩な臨床像を呈することが再認識された.
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