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第61巻 第4号

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症例報告
筋腫分娩と酷似する腟壁より発生したAngiomyofibroblastomaの1症例―性ステロイドとタモキシフェンクエン酸塩との関係性―
稲葉 不知之1)2), 秋田 世理1), 功刀 優子1), 三橋 暁2)
1)みさと健和病院婦人科
2)獨協医科大学病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 61(4):397-403, 2024
https://doi.org/10.60311/kjog.61-4.397

 Angiomyofibroblastoma(AMFB)は,女性の外陰部に好発する良性間葉系腫瘍だが,腟内発生例も散見される.AMFBは表面平滑な弾性硬腫瘤で平滑筋腫と酷似するため,腟内全体を観察できない場合は筋腫分娩と鑑別が必要となる.症例は50歳の女性で,右乳癌の術後治療でタモキシフェンクエン酸塩を内服し,医原性の閉経状態にあった.不正出血を主訴に受診され,腟内に径5 cmの表面平滑な弾性硬腫瘤が観察された.筋腫分娩を疑うも,子宮頸部が目視できないため,Uterine Probeを用いて診察した結果,出血量が増大し,止血困難となった.そのため,緊急手術を実施すると,腟壁4時方向から有茎性に発育した腫瘍と判明した.病理診断はAMFBであった.術後3か月経過した時点で,再発は認めていない.AMFBの発育機序は不明瞭な点が多いが,性ステロイドの関与が示唆されている.しかし,低エストロゲン状態の症例報告や,タモキシフェンクエン酸塩が関与している報告もあり,筋腫分娩の臨床経緯と異なる症例に対しては,AMFBを想起して加療にあたる姿勢が肝要である.

Key words:Angiomyofibroblastoma, leiomyoma, vagina, tamoxifen
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