抗原に対する結合力の高いIgG抗体のトキソプラズマIgG抗体中に占める比率を測定するトキソプラズマIgG avidity testは現在のところわが国では研究用検査という位置づけであるが,感染時期推定の補助に有用であると報告されている.
今回,われわれは,妊娠初期検査でトキソプラズマIgG抗体価陽性,トキソプラズマIgM抗体価陽性であったが,トキソプラズマIgG avidity test高値のため,既往感染と判断.発症抑制薬であるアセチルスピラマイシンを投薬せずに経過観察したが,出生後,臍帯血と新生児尿トキソプラズマDNA陽性であった1症例を経験した.しかし,臨床症状は一切なく,1歳でIgG陰性となり,先天性トキソプラズマ症の発症はみとめられなかった.妊娠,産褥期のIgG,IgM,IgG Avidityの変化も合わせ,経過を報告する.
尚,本症例は,スピラマイシンが先天性トキソプラズマ症の発症抑制薬として日本国内で保険適用承認前の症例である.
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