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第61巻 第4号

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症例報告
アモキシシリン内服治療後にベンジルペニシリンベンザチン持続筋注製剤による追加治療を行った妊娠期梅毒の一例
阪口 百佳1)2), 岡垣 竜吾1), 小澤 利佳1)2), 松田 尚子1), 望月 千明1), 髙木 健次郎1), 桑田 知之2), 大西 翼3), 西林 学1)
1)練馬光が丘病院産婦人科
2)自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科
3)練馬光が丘病院感染症内科
関東連合産科婦人科学会誌, 61(4):410-415, 2024
https://doi.org/10.60311/kjog.61-4.410

 世界的な梅毒患者の増加に伴い,妊娠期の梅毒,先天梅毒も急増している.2022年より世界的な梅毒標準治療薬であるベンジルペニシリンベンザチン(BPB)持続筋注製剤が,本邦でも使用可能となった.しかし,妊婦において,これまで使用されてきたアモキシシリン(AMPC)内服治療といずれを選択すべきか明確な指針がない.また,治療終了の基準も明確ではない.今回我々はAMPC内服後にBPB筋注を追加した妊娠期梅毒の一例を経験した.症例は34歳6妊1産.妊娠18週に感染時期不明の潜伏梅毒と診断した.AMPC1,500 mg/日を4週間内服し,母体のRPR値は54.3 R.U.から9.5 R.U.まで低下した.しかし,近年の報告によれば,RPR値が低下した母体からも先天梅毒が発生している.感染症を専門とする医師の意見を求めたところ,BPB持続筋注製剤による追加治療が提案された.本人同意を得て,妊娠31週でBPB240万単位の単回筋注を行った.副反応を認めず,妊娠経過を通じて胎児に異常所見は認めなかった.妊娠39週2日,経腟分娩により女児を娩出した.児のRPRは陰性であり,生後7か月まで先天梅毒を疑う所見を認めていない.本症例の治療方針の正当性につき検討し,今後同様の妊娠期梅毒の症例に対してどう対応すべきか,文献的考察を加えて報告する.

Key words:syphilis, penicillin, benzathine benzylpenicillin, amoxicillin, pregnancy
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