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第61巻 第4号

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症例報告
腹腔鏡手術で診断された異所性卵巣明細胞癌の1例
星澤 早紀, 岡本 修平, 小島 恵里, 久保田 未唯, 土屋 雅, 植村 朝子, 高橋 泰洋, 宮本 純孝, 中村 学
さいたま赤十字病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 61(4):416-422, 2024
https://doi.org/10.60311/kjog.61-4.416

 異所性卵巣とは卵巣組織が解剖学的に正常卵巣と異なる位置に存在する稀有な形態である.今回我々は広間膜後葉から発生する孤立性の異所性卵巣を認め明細胞癌であった症例を経験した.
 症例は40歳,0妊0産,虫垂偽粘液腫による腸重積のため虫垂切除歴がある.超音波検査で骨盤内腫瘤の指摘があり造影MRI検査にて左付属器領域にT1強調像で低信号,T2強調像で低・高信号が混在し,造影効果に乏しい8 cm大の腫瘤を認めた.左卵巣良性腫瘍の診断で腹腔鏡手術を実施した.正常大の左右卵巣の他に左広間膜後葉から発生する有茎性の表面不整な腫瘤を認めたのでこれを摘出して回収袋へ収容した.病理学的に卵巣由来の組織型であり,一部に明細胞癌を認め異所性卵巣から発生した明細胞癌と診断した.CT検査で遠隔転移はなくStaging手術として開腹単純子宮全摘術,両側付属器摘出術,大網部分切除術を実施した.異所性卵巣以外には病理学的に明細胞癌の所見はなくFIGO進行期分類 StageIA期としてパクリタキセル/カルボプラチン療法を施行し経過良好である.
 異所性卵巣腫瘍の悪性腫瘍の報告例は非常に少ない.本症例により異所性卵巣原発でも明細胞癌が発生することが示唆された.それ故に異所性卵巣を含め発生由来不明の腫瘍に対しては腹腔内播種の可能性を常に意識し,いかに回避するか,特に腹腔鏡手術では必ず回収袋を用いる手技の重要性を再認識した.

Key words:Ectopic Ovary, Clear Cell Carcinoma, Laparoscopic Surgery
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