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第61巻 第4号

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症例報告
術中超音波検査を併用し手術を行った子宮腺筋症合併卵管間質部妊娠の1例
河村 まいか, 秋野 亮介, 佐藤 麻柚, 田渕 明彦, 対馬 杏奈, 中 摩佑子, 河野 春香, 後藤 未奈子, 土肥 聡, 小松 玲奈, 西 健, 近藤 哲郎, 大槻 克文
昭和大学江東豊洲病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 61(4):430-435, 2024
https://doi.org/10.60311/kjog.61-4.430

 異所性妊娠は全妊娠の1~2%程度と報告されているが,卵管間質部妊娠の頻度は少ない.今回術中超音波にて妊娠部位を確認し手術を行った子宮腺筋症合併卵管間質部妊娠症例を報告する.症例は39歳,4妊3産.既往に子宮内膜症性囊胞と子宮腺筋症,右卵管留水症がある.挙児希望にて前医を受診,タイミング指導にて妊娠成立.推定排卵日より妊娠5週5日,6週2日の時点で子宮内に胎囊が確認できず,血中hCG値は2,931から7,348 mIU/mlと上昇を認めた.その後も子宮内に胎囊が確認できず,左卵管間質部に胎囊を疑う所見を認め間質部妊娠の疑いにて当院紹介となった.骨盤部MRI検査にて左卵管間質部に18 mm大の胎囊を疑う所見を認めたため,緊急手術の方針とした.腹腔鏡下で骨盤内を観察したところ,子宮腺筋症のため子宮後壁が腫大し卵管間質部の腫大がなく肉眼的には妊娠部位の同定が困難であった.そのため,5 cm小開腹し経腟超音波プローブを直接卵管間質部に当て胎囊を確認,同部位を切開し妊娠組織を切除した.病理組織学的検査にて絨毛が確認され血中hCG値の低下を確認した.腹腔鏡手術の技術向上に伴い卵管間質部妊娠でも全腹腔鏡下手術が可能となっているが,本症例のように子宮腺筋症を合併し病変が肉眼的に同定困難な場合は5 cm程度の創部から経腟超音波プローブを術野で用いることで妊娠部位の確認が可能となり,より手術の安全性が担保できると考えられた.

Key words:ectopic pregnancy, interstitial pregnancy, angular pregnancy, transvaginal echo probe, adenomyosis
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