先天性梨状窩瘻は第3・4咽頭囊の遺残が囊胞を形成する疾患であり,感染を契機に新生児期に呼吸障害を起こす可能性がある.今回,胎児期に先天性梨状窩囊胞を診断し,早期に外科的介入を行い良好な経過を辿った症例を経験したので報告する.症例は41歳,4妊2産,自然妊娠.妊娠27週に胎児右頸部囊胞を指摘され,妊娠32週に当院紹介受診した.胎児超音波検査にて右総頸動静脈の前内側に22×10 mm大の単房性囊胞を認め,MRI検査T2強調像では境界明瞭で高信号で均一な単房性囊胞を認め梨状窩囊胞が疑われた.産科,新生児科,小児外科で協議を行い,梨状窩囊胞の可能性が高いこと,囊胞の増大傾向がなく気管圧迫所見も認めないことから出生直後の気道閉塞は否定的と考え,Ex-utero intrapartum treatment(EXIT)は行わず通常の帝王切開分娩の方針とした.
児は妊娠38週2日に帝王切開術(適応:既往帝王切開,骨盤位)で出生した.児は2,760 gの女児,出生後は速やかに啼泣を認め,Apgar Score 1分値8点,5分値9点であった.出生後に超音波検査および造影CT検査にて下咽頭梨状窩囊胞と診断し,日齢8に囊胞感染を疑い右梨状窩囊胞摘出術を施行した.病理診断は梨状窩囊胞であり,母児共に術後経過良好であった.
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