術前に再発低リスク群と推定される子宮体癌症例では骨盤リンパ節郭清(PLA)の省略が考慮されるが,その中でより正確にPLAの要否を判断するための明確な基準は確立されていない.今回,術中迅速病理診断により類内膜癌G1/G2,IA期が推定された症例において,PLAが必要であるか,さらに詳細なリスク評価が可能であるかを後方視的に検討した.術中迅速病理診断で類内膜癌G1/G2,1/2未満の筋層浸潤を認め,PLAを含む手術が実施された199例において,骨盤リンパ節(PLN)転移は7例(4%)にみられた.術中迅速病理診断における筋層浸潤の深さの記録があった154例において定量的な検討を行った.筋層浸潤の深さ4 mmをcut offとして,4 mm未満群(A群),4 mm以上群(B群)にわけて検討すると,リンパ節摘出個数の中央値は両群間で有意差を認めなかったが(33.5個 vs 37個,p=0.422),PLN転移はA群で0例(0%),B群で5例(7%)にみられ,B群で有意に多かった(p=0.027).術中迅速病理診断において類内膜癌G1/G2,IA期が推定された場合,全症例でPLAを省略するとPLN転移の見逃しが一定数生じるが,筋層浸潤の深さについて定量的な評価を加えることでより正確にPLAが必要な症例を選択できる可能性が示唆された.
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