在留外国人数の増加に伴い外国人妊婦の出生数も増加している.本研究では多様な国籍の外国人妊婦が抱えている問題を明確化し,その具体的な支援方法を立案することを目的に,帝京大学医学部附属病院(以下,帝京)と関東労災病院(以下,関東労災)の2施設で質問票調査を行った.本研究は,妊婦対象調査・観察研究(横断研究)である.2022年1月1日~2023年3月31日に帝京と2022年11月1日~2023年4月3日に関東労災で行った.産後1か月健診を受診した全ての外国人妊婦と対照群として同時期に出産した日本人妊婦を対象に自記式質問票調査を行った.さらに,保健指導を行った助産師を対象にして,対象となった外国人妊婦の保健指導理解度を評価した.質問票に基づく外国人と日本人の出産満足度は10点中平均9点であり,有意差は認めなかった.入院中に困った事があった割合は外国人妊婦が30%と有意に多く困った理由の中で一番多かった事は「食事」で今後改善を望む事としては「言葉」が多かった.助産師が担当した患者の保健指導の理解度(10点満点)の平均は7点台だった.助産師への調査でも対応に困った事として「言葉」に関する問題が多くあがった.本研究から全体の出産満足度は外国人日本人共に同等程度であったが,実際には食事や言葉などでの困りごとが生じていることが示唆され外国人妊婦に対する医療サービスにおける改善すべき課題を見いだせた.
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