腸管子宮内膜症は腸管壁に子宮内膜様組織が増生する疾患である.今回,子宮卵管切除後の更年期症状に対し,エストロゲン単独補充療法により腸管子宮内膜症を発症した症例を経験した.症例は52歳,0妊0産.47歳時,子宮筋腫の診断で腹腔鏡下子宮全摘術を施行した.手術時には子宮内膜症を疑う所見は認めず,術後1か月後より更年期症状に対し,エストロゲン単独によるホルモン補充療法を行っていた.4年6か月後,健診で便潜血を指摘され,他院で大腸内視鏡検査を施行したところ,内腔を占拠する腫瘤を認め,直腸がんの術前診断にて腹腔鏡下低位前方切除術とD3リンパ節郭清を施行した.病理検査の結果,直腸の腸管子宮内膜症と診断された.閉経後ホルモン補充療法を行う場合,子宮内膜症再発や新規発症の可能性があることを念頭に置き,症状の確認や超音波検査等を定期的に行うことが必要であると再認識された.
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