胃型腺癌が上皮内癌の状態で発見されることは比較的稀であるが,今回子宮頸部上皮内胃型腺癌と診断し,腹式準広汎子宮全摘出術を施行した1例を経験したので文献的考察を含めて報告する.症例は57歳女性,0妊.検診にて頸部細胞診AGCで紹介となり,頸部多囊胞性病変を認めたため外来で定期検診の方針となっていた.以後,頸部細胞診でAGC-NOSの所見持続し,コルポスコープ・生検,子宮頸部細胞診,内膜細胞診にて経過観察を行った.3年後の外来定期検診にて頸部組織診断でadenocarcinoma疑いとなり,子宮頸部円錐切除術を施行したところ,子宮頸部上皮内胃型腺癌(脈管侵襲陰性),摘出標本断端陽性であった.同時に施行した子宮内膜組織診断はadenocarcinomaであり画像診断では他に病変を認めなかった.子宮体癌に準じ,また子宮頸部に浸潤癌が存在する可能性も考慮し,腹式準広汎子宮全摘出術,両側付属器摘出術を施行した.術後病理結果では,子宮頸部上皮内胃型腺癌の最終診断であり,子宮内膜には悪性所見は認められなかった.その後,外来にて定期検診を施行しているが明らかな再発は認めていない.子宮頸部多発囊胞性病変に加えて頸部細胞診異常を認めた場合は胃型腺癌の可能性も考慮し精査が必要である.
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