絨毛癌の多くは奇胎妊娠後に発症し,産後の発症は稀であるため診断が難しい.今回後期分娩後異常出血を呈した正期産後の臨床的絨毛癌を2例経験した.2症例ともに正期産で児を娩出した.症例1は児の高度貧血を認め,母児間輸血症候群と診断された.いずれも後期分娩後異常出血を認めており,不正性器出血を主訴に前医を受診し,画像精査で肺転移巣を認めたことが臨床的絨毛癌の診断の契機となった.2症例ともにMEA療法を施行し,再発なく経過している.
産後の絨毛癌は頻度が低く,診断に難渋する場合が多い.後期分娩後異常出血を認めた際には絨毛癌も鑑別に挙げ,血清hCGを測定すること,胸部X線写真や胸部CT検査で肺病変を確認することが絨毛癌の早期診断に繋がると考えられた.
特に症例1は母児間輸血症候群を発症しており,胎盤の原発性絨毛癌であった可能性が示唆される.胎盤の組織学的検索で,より早期の診断に至った可能性がある.胎児貧血を認めた際には,胎盤の組織学的検索を行うことが推奨される.
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