免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の副作用に免疫関連有害事象(irAE)があるが,irAE胆管炎の発生頻度は低く,セミプリマブによる胆管炎の報告例はない.今回我々は,再発子宮頸癌に対するセミプリマブ投与中にirAE胆管炎の発症が疑われた1例を経験した.症例は70歳,2産.子宮頸部扁平上皮癌IVB期に対し,TC療法を実施した.画像上病変の縮小を認め経過観察としたが,9か月後のPET-CTで縦隔,鼠径リンパ節に集積があり,胸水貯留を認めた.再発と診断し,セミプリマブ単剤療法を開始した.8コース目day14に季肋部痛,食欲不振の訴えがあり,血液検査で肝胆道系酵素の急激な上昇を認めた.MRCPでは胆管結石や狭窄を認めず,irAE胆管炎を疑った.膵炎の合併も示唆されたため,膵炎治療と並行して,胆管炎に対してプレドニゾロン,グリチルリチン・グリシン・システイン配合剤,ウルソデオキシコール酸で治療したが改善は乏しかった.第32病日,経皮的胆道ドレナージを施行し,肝酵素は改善したものの,胆道系酵素は十分な改善を得られなかった.全身状態の悪化から第43病日に死亡した.irAE胆管炎は稀な病態であり確立した診断法や治療法はない.治療はステロイドや免疫抑制剤が選択されることが多いが,難治性で免疫療法継続が不能となる.適切な診断,治療を明らかにすべく,更なる症例の集積が必要である.
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