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第62巻 第1号

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症例報告
インスリン注射後に低血糖の遷延による母体徐脈と胎児徐脈を認めた妊娠糖尿病の1例
川上 七海, 関口 将軌, 今村 結香, 神谷 瑞希, 佐藤 梨花子, 倉富 由理, 三浦 貴大, 不殿 絢子, 羅 ことい, 廣瀬 明日香, 宮坂 尚幸
東京科学大学産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 62(1):75-79, 2025
https://doi.org/10.60311/kjog.62-1.75

 妊娠糖尿病に対するインスリン投与は低血糖のリスクを伴う.母体低血糖時には母体の心拍数は一般的に増加し,一方で胎児の心拍数に関しては報告が少ない.今回インスリン注射後に低血糖による意識障害を呈し,母体徐脈と胎児徐脈を認めた妊娠糖尿病の1例を経験した.
 症例は38歳5妊0産,凍結融解胚移植後妊娠.妊娠27週に妊娠糖尿病と診断し,インスリン自己注射を行っていた.妊娠39週6日の朝にも超速効型インスリン20単位の自己注射を行っていた.同日の外来受診時に待合室で倒れているところを発見され,JCS 1点の意識レベル低下,冷汗,構音障害等の症状を認めた.血糖30 mg/dLの低血糖を認め経口・経静脈的にブドウ糖投与を行った.血糖は正常範囲となり意識レベルも回復したが,母体心拍数58 bpmの母体徐脈を認め,胎児心拍数陣痛図で胎児心拍数基線105 bpmの胎児徐脈が持続したことから胎児機能不全の適応で緊急帝王切開術を施行した.術後の母体の体温は35.4℃,児のNICU入室時の体温は35.5℃とどちらも低値であった.母児ともに経過良好であり術後7日目に退院となった.
 母体低血糖の遷延に起因する母体・胎児の副交感神経の亢進,母児低体温により母体徐脈と胎児徐脈を呈した可能性が考えられる.母体低血糖が存在する場合の胎児徐脈は児の健常性の障害を必ずしも意味しないことに注意が必要である.

Key words:Gestational Diabetes, Hypoglycemia, Bradycardia, Fetal Bradycardia, Hypothermia
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