【緒言】生殖補助医療の保険適用に伴う移植回数制限のため,以前より2胚移植(DET)を余儀なくされる場面にしばしば遭遇する.良好胚(G胚)に不良胚(P胚)を加えたDETは多胎のリスクに加え,妊娠率を低下させるという懸念もあるが,P胚同士のDETのART成績は不明である.当院におけるART症例において,胚の形態学的評価に基づき,ART成績を後方視的に検討した.
【方法】2016年1月~2023年5月に行った胚盤胞移植周期において,移植胚個数,採卵時年齢,既往移植回数,胚の形態学的評価(Gardner分類でBB以上をG胚,BB未満をP胚と分類),妊娠率,出生率,流産率,多胎率(いずれも分母は移植周期数)を算出し解析した.
【結果】計2,675移植周期のうち,SET/DETは2,004/671周期,採卵時年齢中央値は38/39歳,既往移植回数は2.4/3.9回であった.出生率に有意差は認めないが,多胎率はDETで有意に高かった.P胚のSETとP胚同士のDET(523/285周期)では,DETにおいて妊娠率,出生率は有意に高く(ともにp=0.04),流産率,多胎率においては有意差を認めなかった.
【結語】P胚同士のDETでは多胎のリスク上昇を留めつつ,わずかながらもART成績を上昇させることが示唆された.
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