筋腫分娩は有茎性粘膜下筋腫が腟内に脱出したものであり,多くは過多月経や不正出血を伴う.脱出した筋腫が小さく茎が細いものであれば,外来で捻除術や茎部結紮術を行い治療可能だが,出血の状況,茎の太さや正常筋層との関係によっては子宮全摘術が必要になることもある.捻除術や茎部結紮術は侵襲が少ないものの,止血が確実ではないことや残存茎への懸念が残る.一方で子宮全摘術は侵襲が大きい点に加え,妊孕性の温存ができない.その点子宮鏡下手術は侵襲が少なく妊孕性も温存され,電極による凝固止血が可能であるなど,利点の多い手術方法である.しかし現状,筋腫分娩を子宮鏡で手術をする場合の,筋腫の大きさや茎の太さなどに関する一定の見解はない.今回筋腫分娩に対し,当院で子宮鏡下手術を行った16例について後方視的に検討した.結果は脱出筋腫の腫瘍径は15~58 mm(中央値34 mm),切断予定箇所の茎の太さは2.0~11.2 mm(中央値5.5 mm)となっていた.経験した16症例すべてで術中出血や子宮穿孔等の合併症をきたした症例はなく,比較的茎の細い筋腫分娩に対する子宮鏡手術は安全に施行が可能で,筋腫分娩の状態のまま子宮鏡手術を行うことも可能であった.
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