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第62巻 第4号

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症例報告
筋腫分娩により頸部が腫大した子宮に対し手術手技を工夫し全腹腔鏡下子宮全摘術をしえた2症例
織田 愛実, 小林 光紗, 滝沢 真由, 吉井 るい, 金森 正紘, 高木 偉博, 小林 浩治, 安達 博
聖隷浜松病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 62(4):442-448, 2025
https://doi.org/10.60311/kjog.62-4.442

 頸部が腫大している筋腫分娩に対する全腹腔鏡下子宮全摘術(以下TLH)では,子宮筋腫により腟部が展退していることから,適切な位置での腟管切開が困難なことがある.
 症例1は45歳,過多月経を伴う筋腫分娩を認め,根治術目的にTLHを行った.子宮筋腫が腟内を占拠し頸部は腫大していた.子宮をVagi-パイプで挙上しながら上部靭帯を処理,子宮傍結合織を凝固切断した.経腟操作に移行し,筋腫分娩状態の子宮筋腫を細切して摘出し,展退した腟部をZ縫合し縫縮閉鎖した.さらにその縫合糸をVagi-パイプを通して牽引することで腟円蓋とVagi-パイプを密着させた.腹腔鏡操作にてVagi-パイプにより強調された腟管を全周性に切開し子宮を切離した.子宮頸部に欠損はなかった.
 症例2は47歳,不正出血を伴う子宮から連続する腟内腫瘤を認めた.筋腫分娩が疑われたが,子宮肉腫の可能性が否定できないことからも,診断目的,症状緩和目的にTLHを施行した.症例1と同様の方法で行った.腟部を縫合閉鎖しているため,腹腔内に腫瘍が露出することなく,子宮を摘出しえた.
 頸部が腫大している筋腫分娩に対するTLHで腟円蓋を正しく認識する方法として,展退した腟部を縫縮し通常の子宮頸部の形態に近づけ,さらに縫合糸をVagi-パイプを通して牽引するという方法を提示した.これにより適切な腟管切開を行うことができた.

Key words:Hysterectomy, Laparoscopy, Leiomyoma, Prolapse
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