妊娠中に骨盤腎合併妊娠と診断し選択的に帝王切開を行い,重大な合併症なく無事生児を得た症例を経験したので報告する.
症例は35歳,初産婦.近医内科で遊走腎と指摘され,精査中に近医産婦人科で凍結胚移植にて妊娠に至った.
妊娠14週と34週で精査のため単純MRIを施行した.経腟分娩は腎破裂などのリスクが高いと判断し,本人や家族と分娩方針を相談した上で妊娠38週0日に選択的帝王切開術の方針とした.
児は3,148 g,男児,Apgar score1/5分値は8/9点,術中所見にて腎臓は後腹膜内に存在し,可動性不良を認めた.
また右の単角子宮を認めたことから,生殖器奇形と腎臓の位置異常により骨盤腎と診断された.
術後血圧上昇あり,産褥妊娠高血圧症と診断されたが,降圧薬にて血圧コントロール良好であり,術後7日目に経過良好で退院した.
骨盤腎が判明した際には可能な限り妊娠前の合併奇形等の精査を行うことや,血圧異常の有無,経腟分娩可能かの判断等に注意して妊娠管理を行うことが望ましいと考えられる.
〒102-0083
東京都千代田区麹町4-7
麹町パークサイドビル402
(株)MAコンベンションコンサルティング内
E-mail:kantorengo@jsog-k.jp