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第62巻 第4号

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症例報告
妊娠中に両側総頸動脈の高度狭窄を伴う高安動脈炎と診断し周産期管理を行った1例
小安 公音, 秋田 啓介, 池ノ上 学, 梶川 かおる, 髙橋 まりな, 田中 邦生, 大谷 利光, 春日 義史, 山上 亘, 田中 守
慶應義塾大学医学部産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 62(4):489-494, 2025
https://doi.org/10.60311/kjog.62-4.489

 【緒言】
 高安動脈炎は大動脈及びその分枝,肺動脈,冠動脈に炎症性壁肥厚をきたし,血管の狭窄,閉塞または拡張病変をきたす非特異的炎症性疾患である.今回,妊娠成立後に両側総頸動脈の高度狭窄を伴う高安動脈炎と診断し,周産期管理を行った症例を経験したので報告する.
 【症例】
 33歳.G4P1.人工授精で妊娠成立し,妊娠7週の妊婦健診で両上肢血圧が測定不能かつ,両側橈骨動脈および上腕動脈の拍動を触知しなかった.左内頸動脈に血管雑音,頸動脈超音波断層法で両側頸動脈に血管壁肥厚を認め,妊娠16週時に高安動脈炎と診断し,妊娠17週時にステロイド及びアスピリンの投与を開始した.ステロイド抵抗性であり,TNFα阻害薬及びアザチオプリンを追加し,速やかに炎症反応は低下した.妊娠36週に前期破水し,胎児機能不全のため緊急帝王切開とした.児は女児,2,100 g,Apgar score 8/9点(1/5分値),明らかな外表奇形なく,母児ともに術後経過良好で術後6日目に退院とした.
 【結語】
 今回我々は妊娠成立後に高安動脈炎と診断し,周産期管理を行った症例を経験した.診断後早期にステロイド及びアスピリン投与を開始し,ステロイド抵抗性に対してTNFα阻害薬とアザチオプリンを追加投与したことにより,両側総頸動脈の高度狭窄を伴っていたが36週まで妊娠継続を可能とし,母児ともに良好な周産期転機が得られた.

Key words:Takayasu arteritis, Pregnancy
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