絨毛癌は,我が国では年間50例程度報告をされる希少癌で一般に多臓器転移を起こしやすい.今回,開頭術を契機に絨毛癌の診断に至り多剤併用化学療法によって寛解に至った症例を経験したため報告する.患者は34歳,4妊3産の女性.経腟分娩後57日目に突然の嘔気と左上肢の麻痺を認め前医脳神経外科を受診した.CTで右前頭葉~頭頂葉に脳出血を認め,開頭血腫除去術が施行された.病理学的に絨毛癌と診断され当院紹介となった.血清hCGは200,000 mIU/ml以上で,肺・腎に転移を認め妊娠性絨毛癌として多剤併用化学療法を開始した.その後血清hCGはカットオフ値未満となり,その後再発所見なく経過している.産後の脳卒中では,絨毛癌脳転移も鑑別診断にあげ,血清ないしは尿中hCGでのスクリーニングが勧められる.
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