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第62巻 第4号

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特集 第148回学術集会優秀演題賞演題
近年のHIV感染妊娠における経腟分娩例に関する検討
湊 怜子1), 杉浦 敦1), 竹田 善紀2), 小林 裕幸3), 高野 政志4), 中西 美紗緒5), 箕浦 茂樹6), 桃原 祥人7), 喜多 恒和8), 吉野 直人9)
1)武蔵野赤十字病院産婦人科
2)日本大学医学部病態病理学系微生物分野
3)筑波大学附属病院水戸地域医療教育センター水戸協同病院総合診療科
4)防衛医科大学校産科婦人科学講座
5)国立健康危機管理研究機構国立国際医療センター産婦人科
6)新宿区医師会区民健康センター
7)横浜市立みなと赤十字病院産婦人科
8)奈良市総合医療検査センター
9)愛知県立大学看護学部
関東連合産科婦人科学会誌, 62(4):569-576, 2025
https://doi.org/10.60311/kjog.62-4.569

 本邦においてヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus:HIV)感染妊娠の母子感染予防対策は確立されつつあり,分娩様式は帝王切開が推奨されてきた.他方諸外国では近年,血中HIV RNA量のコントロールが良好な症例では経腟分娩が許容されている.今回本邦での分娩様式を再考することを目的とし,当研究班で集積したHIV感染妊娠1,217例のうち本邦で経腟分娩となった78例を対象に,背景や分娩様式決定理由等を後方視的に検討した.経腟分娩における母子感染率は1999年までは53.3%であったが,2000年以降は27.3%まで有意に減少した.2018年以降の経腟分娩8例のうち5例は血中HIV RNA量のコントロールが良好なため経腟分娩を選択していた.海外の報告では,血中HIV RNA量のコントロールが良好な症例の母子感染率は分娩様式による有意差はないとされており,本邦においてもコントロールが良好な症例からの母子感染は発生していない.しかし施設状況やマンパワー不足などにより,本邦で経腟分娩を一律に推奨することは困難である.本邦での症例数は少なく,個々の症例で分娩方法を検討していくことが適切と考えられ,経腟分娩に対応するための分娩時の感染予防対策マニュアルや医療体制の確立が重要である.

Key words:HIV, mother-to-child transmission, vaginal delivery, HIV-infected pregnancy
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