【緒言】着床前遺伝学的検査モザイク胚移植後妊娠では胎盤限局性モザイク,真性モザイク,ヘテロ接合性の喪失の可能性もあり不安な妊娠期間を過ごすカップルも少なくない.モザイク胚移植後妊娠の周産期転帰と遺伝学的検査結果について報告する.
【方法】2018年1月~2024年12月に他院でモザイク胚移植によって妊娠成立し,当院で妊娠・分娩管理を行った13例を対象とした.妊娠成立後の遺伝カウンセリング希望者数,出生前後の遺伝学的検査,周産期転帰について後方視的に検討した.4例は同意取得した上で臍帯血・胎盤のSNPマイクロアレイ解析を実施した.本研究は施設倫理委員会の承認を得て行った.
【結果】採卵時年齢(平均値±標準偏差)は41.0(±2.3)歳であった.低頻度モザイク(<50%)が10例,高頻度モザイク(≧50%)が3例.全例が妊娠成立後に改めて遺伝カウンセリングを希望した.3例は羊水染色体検査,他の4例は出生児の末梢血染色体検査を希望し全て正常核型であった.全例が正期産で児の特記すべき形態異常を認めなかった.4例の臍帯血・胎盤のSNPマイクロアレイ解析ではコピー数異常・ヘテロ接合性の喪失を認めなかった.
【結語】本報告のモザイク胚移植後妊娠では児・胎盤の遺伝学的検査に異常を認めず,臨床的にも良好な転帰であった.モザイク胚移植の遺伝カウンセリングにおいて有用な情報が得られた.
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