過大着床部(Exaggerated placental site:EPS)は,着床部中間型栄養膜細胞の非腫瘍性増殖により生じる極めて稀な疾患である.術前診断は困難で,特異的な臨床所見や治療はまだ確立されていない.今回,体外受精後に稽留流産と診断され,自然排出待機中に性器出血をきたし,出血コントロール目的で子宮全摘術を行った結果,EPSと診断された一例を経験した.症例は39歳,2妊0産,妊娠5週相当の稽留流産と診断された後に持続性出血と高度貧血を認めた.MRI検査で拡散制限を伴わない11.2 cm大の血流豊富な子宮内腫瘍を認めた.血中hCG値は3,531 mIU/mLであった.輸血後に,内腸骨動脈閉塞バルーン留置下で診断および治療目的に子宮内容除去術を試みた.手術開始直後に多量出血をきたし,子宮動脈塞栓術をおこなうも止血できず,子宮全摘術を施行した.術後経過は良好のため術後5日目に退院した.病理学的に中間型栄養膜細胞の非腫瘍性増殖を認め,EPSと診断された.EPSは良性疾患とされているが,同じく中間型栄養膜細胞が腫瘍性に増殖する胎盤部/類上皮性トロホブラスト腫瘍と類似し,臨床診断は困難である.管理方法も確立されていないが,特に本症例のように腫瘤が大きく血流豊富な場合は排出待機中や組織採取を試みる際の出血リスクが高く,出血に備えた体制下での外科的治療が必要であると考える.
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