Li-Fraumeni症候群(Li-Fraumeni syndrome:LFS)は,TP53遺伝子の生殖細胞系列バリアントに起因し様々ながんを高率に発症する疾患である.今回我々は,偶発的にLFSの診断に至った1例を経験した.症例は42歳,2妊2産.既往歴に両側乳がんがある.卵巣腫瘤の増大とCA125上昇を認め当科紹介,卵巣がんが強く疑われた.腹式単純子宮全摘出術+両側付属器摘出術+大網部分切除術+腹膜播種摘出術を施行し左卵巣がんIIB期,高異型度漿液性癌(pT2bNxM0,tBRCA1病的バリアント陽性)であった.パクリタキセル+カルボプラチン療法6コース施行し,維持療法としてオラパリブ内服を開始した.経過観察のCT検査で左副腎腫瘤の増大があり,腹腔鏡下左副腎摘出術を施行,平滑筋肉腫であった.1万人がんゲノムデータベースを構築する研究に参加しTP53遺伝子の病的バリアントが報告され,LFSの診断となった.LFSでは放射線被曝により二次がん発症リスクが増大する特徴があり,現在はCTを用いずサーベイランスを行い,4年3か月無再発で経過している.TP53の遺伝学的検査提出を検討する指標としてChompretの基準がある.本基準を熟知していれば,LFSの想起をより早くできた可能性がある.既往歴や家族歴を十分に聴取し,必要時にはTP53の遺伝学的検査をためらわないことが重要である.
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