治療関連骨髄性腫瘍(Therapy-related Myeloid Neoplasm:t-MN)は,化学療法や放射線療法後に発症し,ポリアデノシン5’二リン酸リボースポリメラーゼ(Poly(ADP-ribose)Polymerase:PARP)阻害薬(PARP阻害薬)の投与例においても1~2%程度に認められる1).今回,卵巣癌に対してPARP阻害薬を投与中にt-MNを発症した2例を経験した.
症例1は,卵巣高異型度漿液性癌の維持療法としてオラパリブを投与し,無病生存状態を維持していたが,投与開始後24か月に末梢血中に骨髄芽球が出現したため,血液腫瘍内科に相談を行った.精査の結果,治療関連急性骨髄性白血病(Therapy-related acute myeloid leukemia:t-AML)の診断となった.
症例2は,卵巣癌肉腫の再々発に対してオラパリブを投与し,無病生存状態を維持していたが,投与開始後31か月に左頰部の腫脹を主訴に精査を施行し,びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B-cell lymphoma:DLBCL)を発症した.血液腫瘍内科で放射線治療中に施行した骨髄検査にて巨核球の異形成を認め,精査の結果,治療関連骨髄異形成症候群(Therapy-related Myelodysplastic Syndrome:t-MDS)の診断となった.
卵巣癌の治療成績の向上により,今後は化学療法の長期投与に起因するt-MNの発症が増加することが想定される.PARP阻害薬を含む化学療法中の汎血球減少はt-MNの併発との鑑別が困難であるが,遷延する汎血球減少が出現した際には,芽球出現を待たず,早期に血液内科への相談や骨髄検査を検討すべきである.t-MNは予後不良であることが多く,早期発見・診断により速やかな治療介入が重要である.
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