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第51巻 第4号

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症例報告
遺伝性血管性浮腫を合併した妊娠の一例
小林 未央, 家坂 直子, 須藤 亜紀子, 笠原 慶充, 田村 友宏, 定方 久延, 勝俣 祐介, 峯岸 敬
群馬大学医学部附属病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 51(4):529-533, 2014

 遺伝性血管性浮腫とはC1-inhibiorの先天異常により顔面や喉頭,四肢,消化管など全身の多部位に発作性の血管性浮腫を生じる遺伝疾患であり,妊娠における増悪例が報告されている.症例は34歳,0経妊0経産.7歳頃から原因不明の腹痛発作を繰り返し,32歳時に遺伝性血管性浮腫と診断された.妊娠中,血管性浮腫発作の頻度が増加したが喉頭浮腫などの重症発作は生じず,また管理入院下に自然陣痛発来し38週1日で正常経腟分娩に至った.妊娠中は発作の長期予防としてトラネキサム酸3,000 mg/日内服を継続し,また分娩時には喉頭浮腫発作対策として乾燥濃縮ヒトC1-インアクチベーター,気管挿管,気管切開の準備を行った.分娩経過中の血管性浮腫発作は認めず,産後も長期予防薬のみで良好な経過が得られた.遺伝性血管性浮腫は精神的・身体的ストレスなどで発作が誘発されることが報告されており,分娩様式については経腟分娩,帝王切開の双方において発作誘発のリスクを伴うと考えられる.周産期管理についての統一見解は得られていないが,妊娠・分娩管理時には個々の症例の重症度を考慮した発作予防方法の検討や,入念な重症発作時対策を行うことが必要であると考えられる.

Key words:hereditary angioedema, pregnancy, perinatal management
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