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第51巻 第4号

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症例報告
妊娠中に絞扼性イレウスに至った手術歴のない妊婦の一例
小田 理沙子, 白井 洋平, 関根 花栄, 高水 藍, 加藤 紀子, 上山 和也, 窪 麻由美, 鈴木 千賀子, 田嶋 敦, 野島 美知夫, 吉田 幸洋
順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 51(4):597-602, 2014

 妊娠中のイレウスは稀であるが,診断が困難であり,予後不良の経過をとることがある.今回我々は,手術歴のない妊娠30週の妊婦に発症したイレウスが,分娩後に腸管穿孔を引き起こし腸管切除に至った一例を経験したので報告する.
 症例 32歳0経妊0経産,手術歴なし.妊娠29週6日腹痛を認め,前医にて腸炎の診断で点滴加療を受け症状軽快した.4日後再度腹痛と性器出血を認め,切迫早産の診断で塩酸リトドリン点滴が開始されたが,症状が改善しないため翌日当院に母体搬送となった.子宮口は4 cm開大しており,経腹超音波で著明な腸管拡張を認め,腹部単純CT検査を施行しイレウスと診断した.その後分娩は進行し同日(妊娠30週4日)早産経腟分娩に至り1,475 g,Apgar score 7点/1分,9点/5分の生児を得た.分娩後イレウス管を挿入し保存的に加療していたが,産褥7日目腹痛の増強が認められた.腹部造影CT検査上腹水を認め,腸管穿孔の疑いで緊急手術とした.左付属器とS状結腸の間に癒着組織を認め,それにより小腸が絞扼され壊死・穿孔を起こしており,同部位の切除を行った.術後創部離開を認め産褥38日目に退院となった.
 妊娠中のイレウスは早期診断・治療が重要であり,保存的治療で症状の改善を認めない場合には機を逸することなく手術を考慮することが重要である.

Key words:Pregnancy, Acute abdomen, Ileus
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