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第51巻 第4号

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症例報告
臍形成術を施行した臍部子宮内膜症の1例
三宅 友子1), 林 雅裕2), 平岡 毅大1), 竹内 真1), 山下 亜紀1), 中山 敏男1), 谷川 道洋1), 武知 公博1)
1)公立昭和病院産婦人科
2)同 形成外科
関東連合産科婦人科学会誌, 51(4):625-629, 2014

 希少部位子宮内膜症は骨盤外に発生する子宮内膜症であり,消化管や尿路,肺,皮膚などに発生する.皮膚子宮内膜症は,70%以上が婦人科手術の瘢痕組織に発生すると報告されている.今回臍部に自然発生した皮膚子宮内膜症に対し臍切除術+臍形成術を施行し,根治性・美容面での患者の満足度両者において良好な経過を得たので報告する.
 症例は38歳,0経妊0経産.1年半前より臍部の赤色腫瘤を自覚,半年前より疼痛を伴うようになり皮膚科を受診した.生検により臍部子宮内膜症と診断され,近医産婦人科でゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト(GnRHa)療法を施行したが増大傾向となり当科を紹介された.手術の方針とし,形成外科と共同で臍切除術+臍形成術を施行した.病理組織診断では,臍部皮下組織から真皮において間質を伴う内膜組織を多巣性・小島状に認め子宮内膜症の診断となった.術後経過は再発なく順調である.
 自然発生の皮膚子宮内膜症の多くは臍部に発生するとされている.子宮内膜症の発生機序は諸説あるが,臍部は瘢痕組織でありリンパ流などの障害が生じやすいことから,臍部子宮内膜症についてはリンパ行性,あるいは血行性に子宮内膜が転移する機序が考えられている.治療は薬物療法が症状のコントロールに有効とする報告もあるが,根治には手術療法が必要となる場合が多く,その際には本症例のように形成外科医と協力した臍再建術が有効である.

Key words:umbilical endometriosis, spontaneous
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