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第51巻 第4号

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症例報告
腹膜癌との鑑別を要し,腹腔鏡下腹膜生検で診断に至った結核性腹膜炎の1例
竹田 貴, 玉田 裕, 谷口 真紀子, 野木 才美, 鶴田 智彦, 後藤 妙恵子
国家公務員共済組合連合会立川病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 51(4):631-636, 2014

 【緒言】結核性腹膜炎は,全結核の0.76%程度と稀な疾患である.腹水貯留,腹腔内の結節性病変,付属器腫瘤などを生じ,その症状は腹膜癌や卵巣癌と類似している.また,腹水中から結核菌を証明することは困難であり,診断に苦慮することが多い.今回我々は,腹水貯留,卵巣腫大,臍腫瘤から腹膜癌を疑い,腹水細胞診検査を行うも明らかな悪性所見を認めず,腹腔鏡下腹膜生検により組織学的に結核性腹膜炎を診断した症例を経験したので報告する.【症例】46歳女性,3経産,特記すべき既往歴なし.不正性器出血を認め近医を受診し,腹水貯留,卵巣腫大を指摘され,精査加療目的のため当院産婦人科を受診した.画像上,腹膜結節,卵巣腫大,臍腫瘤,右下肢深部静脈血栓を認め,腹膜癌または卵巣癌を考え,腹水細胞診検査を施行するも,悪性所見を認めないため,診断的腹腔鏡を施行した.腹腔内検索にて腹膜全体に白色結節を認め,腹膜生検を施行した.術中腹水の結核菌培養検査,PCR法は陰性であったが,病理組織検査にてLanghans型巨細胞,類上皮細胞からなる肉芽腫,乾酪壊死を認め,結核性腹膜炎の診断に至った.術後,抗結核薬4剤併用で治療を開始し,症状は改善している.【結語】腹腔内結節,腹水を認めた場合は,常に結核を鑑別診断の一つとして考える必要がある.また,腹腔鏡下手術の際に排煙フィルターなどを利用することで二次感染を予防することも肝要である.

Key words:tuberculous peritonis, peritoneal cancer, laparoscopic peritoneal biopsy
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