緒言;2004年に開発された妊娠リスクスコアのうち,初期のスコアと分娩時医療介入との関連を単一施設で検討した.方法;2010年~2014年に当院で妊娠初期リスクスコアが採点され出産した5,171例のうち,多胎と36週未満の早産を除いた3,327例を対象とした.妊娠初期リスクスコアの点数を算出し,低リスク群,中リスク群,高リスク群と医療介入(帝王切開・器械分娩)率の関連を解析した.更に,予定帝王切開を除いた経腟分娩試行群においても,陣痛発来後の緊急医療介入(緊急帝王切開・器械分娩)率につき解析を加えた.成績;初期リスクスコア別の医療介入率は,低リスク群の18%と比較し,中リスク群は35%(OR 2.5, 95%CI 2.0~3.0),高リスク群は56%(OR 5.8, 95%CI 4.8~7.0)と有意に医療介入率の上昇を認めた(p<0.001).経腟分娩開始後に緊急医療介入が必要となった割合は,低リスク群の12%と比較し中リスク群は22%(OR 2.0, 95%CI 1.6~2.6),高リスク群は30%(OR 3.1, 95%CI 2.4~3.9)と有意に緊急医療介入率の上昇を認めた(p<0.001).考案;問診のみで評価できる妊娠初期リスクスコア単独でも分娩時の医療介入の有無につき予測可能であり,早期からの適切な分娩施設の選択に有用であると考えられた.
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