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第52巻 第1号

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症例報告
帝王切開後に発症した肺高血圧症から判明した混合性結合組織病(MCTD)の1例
矢野 紘子, 村越 毅, 神農 隆, 松下 充, 中山 理, 鳥居 祐一
聖隷浜松病院総合周産期母子医療センター周産期科
関東連合産科婦人科学会誌, 52(1):37-43, 2015

 混合性結合組織病(MCTD)は全身性エリテマトーデス(SLE),強皮症(SSc),筋炎(PM)様症状を合わせ持つ病像を特徴とする病気で,主な死因として肺高血圧症が重要である.肺高血圧症合併例による妊娠出産は非常にリスクが高く死亡例も多い.今回我々はPIH増悪と判断して帝王切開を行った後に肺高血圧症を発症し,その原因検索からMCTDが判明した症例を経験したのでこれを報告する.
 症例は22歳の初産で高血圧,尿蛋白と血小板減少で妊娠34週6日に当院紹介初診となった.PIHと診断し血小板が減少傾向であった為妊娠35週2日に帝王切開術を行ったところ,術後SpO2の低下を認め血小板減少も遷延した.術後3日目の心エコーから肺高血圧症の診断となり,さらに二次性肺高血圧症の可能性を考えて行った諸検査からMCTDが判明し,PIHによる血小板減少と思われていた病態はMCTDの増悪に伴ってのものであったと考えられた.
 今回の症例では,もともとのMCTD自体は目立った症状がない状態であったが分娩周辺期の循環動態変化により肺高血圧症という重篤な合併症を生じた.PIHと考え管理していても非典型的な経過の症例では他疾患の可能性を検討することが大切であり,また膠原病自体は軽症であっても周産期管理中には深刻な合併症を引き起こし得ることに注意して管理する必要がある.

Key words:MCTD, PH, PIH, pregnancy
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