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第52巻 第1号

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症例報告
水腎症を契機に発見された深部子宮内膜症の一例
秋野 亮介1), 三村 貴志1), 石川 哲也1), 瀬尾 晃平1), 島田 佳苗1), 遠武 孝祐1), 清水 華子1), 宮本 真豪1), 飯塚 千祥1), 森岡 幹1), 関沢 明彦1), 九島 巳樹2)
1)昭和大学医学部産婦人科学講座
2)昭和大学病理部
関東連合産科婦人科学会誌, 52(1):121-125, 2015

 深部子宮内膜症は「腹膜表面から5 mm以上浸潤した内膜症」と病理組織学的に定義されているが,臨床的に深部子宮内膜症に相当する病変はダグラス窩深部子宮内膜症である.月経困難症や下腹部痛,慢性骨盤痛など疼痛を伴うことが多く,泌尿器系の症状を呈すことは稀である.今回我々は水腎症を契機に発見された深部子宮内膜症を腹腔鏡下手術にて治療したので報告する.症例は44歳2経妊1経産 軽度の月経困難症を認めた.左腰背部痛を主訴に当院救急外来を受診.腹部CT検査にて左尿管拡張,左水腎症,左卵巣嚢腫を認めたため,精査目的に当科紹介となった.内診上,ダグラス窩に軽度硬結を認めた.経腟超音波検査で,両側卵巣に子宮内膜症性嚢胞を認めた.また,MRI検査でも両側卵巣嚢腫を認め,左広間膜後葉に索状影を認め,それより上方に尿管拡張を認めた.以上より両側卵巣子宮内膜症性嚢胞および子宮内膜症病変による尿管狭窄と診断し,手術の方針となった.術前に尿管ステント挿入し,腹腔鏡下両側卵巣嚢腫摘出術+子宮内膜症病巣除去術を行った.術中所見として炎症性に瘢痕化した仙骨子宮靭帯を認めた.広間膜は左尿管と癒着していたため尿管を広間膜から剥離し子宮動脈本幹の位置まで露出させ後腹膜病変を一部切除し,手術終了とした.病理組織学的所見として卵巣子宮内膜症性嚢胞を認め,摘出した後腹膜病変からも子宮内膜症組織を認めた.術後よりジェノゲスト製剤を開始し,尿管ステント抜去したがその後水腎症になることなく,現在外来経過観察中である.

Key words:deeply infiltrating endometriosis, hydronephrosis, urinary tract endometriosis
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