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第52巻 第1号

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症例報告
子宮頸癌術後放射線治療後に発症した膀胱破裂の1例
間崎 和夫, 釘宮 剛城, 大路 斐子, 長島 克, 高野 博子, 片桐 由起子, 森田 峰人
東邦大学医療センター大森病院産婦人科
関東連合産科婦人科学会誌, 52(1):127-132, 2015

 子宮頸癌術後放射線照射後の晩期障害の膀胱破裂は比較的稀で,診断に苦慮することがある.今回われわれは子宮頸癌治療7年後に突然の腹痛と腹水で発症し,膀胱破裂と診断した1例を経験したので報告する.年齢は50歳代.7年前に子宮頸部扁平上皮癌IIA2期のため術前化学療法後,広汎子宮全摘術を施行したところ術後病理診断はpT2a2N1M0であったため,術後同時化学放射線療法(全骨盤照射50 Gy)を施行した.術後7年目に突然腹痛が出現し当科に入院,血液検査ではWBC 10,600/μl, CRP 6.0 mg/dl, creatinine(Cr)0.83 mg/dl,腹部CT検査所見では腹水を認めたが,再発所見や腸閉塞所見は認めなかった.腹腔穿刺で採取した腹水は淡黄色透明,腹水細胞診陰性,腹水細菌培養陰性,抗酸菌染色検査陰性,腹水中Cr 6.4 mg/dlであった.入院1週間で腹水は急速に増加,血清Cr 1.79 mg/dlと上昇したが,腎盂尿管造影で尿路通過障害は認めなかった.腹水持続ドレナージで腹水を4,000 ml排液,膀胱カテーテルを留置した.その後腹水は消失,血清Crは正常化,腹痛も消失した.神経因性膀胱と放射線照射による晩期障害で膀胱破裂に至ったと考えられた.子宮頸癌広汎子宮全摘術と放射線治療の既往があり,突然の腹痛と腹水を発症し,腹水中Crが高値の場合は膀胱破裂の可能性を考慮すべきと考える.

Key words:rupture of the bladder, cervical cancer, radiotherapy, ascites, creatinine
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