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第52巻 第1号

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症例報告
当院で分娩前に前置血管と診断した3症例
佐藤 美香, 飯塚 美徳, 野田 あすか, 岡山 佳子, 尾﨑 江都子, 黒田 香織, 楯 健司
千葉市立海浜病院
関東連合産科婦人科学会誌, 52(1):133-137, 2015

 前置血管とは,胎盤や臍帯に支持されない胎児血管が内子宮口上の卵膜を走行する状態である.破水により血管が破綻すると胎児の失血から胎児死亡につながることがあるため,妊娠中に診断し,破水前に帝王切開を施行することが重要である.当科では1年半の間に3例の前置血管症例を経験した.いずれも妊婦健診で全例に施行している超音波検査のスクリーニングで診断したので報告する.症例1は30歳,0経妊0経産,排卵誘発にて一絨毛膜二羊膜双胎妊娠が成立した.低置胎盤,臍帯卵膜付着であり,妊娠23週に経腟超音波カラードプラを施行し前置血管と診断した.子宮収縮が増強したため,妊娠32週5日に緊急帝王切開術を施行した.症例2は40歳,0経妊0経産,体外受精にて妊娠が成立した.妊娠28週で施行した経腟超音波検査で内子宮口付近に索状影を認め,その後複数回の経腟超音波カラードプラにより前置血管と診断した.妊娠35週で施行したMRIで,臍帯卵膜付着による前置血管と診断し,妊娠36週5日に選択的帝王切開術を施行した.症例3は,42歳,2経妊0経産,体外受精にて妊娠が成立した.臍帯卵膜付着であり,妊娠20週に経腟超音波カラードプラを施行し前置血管と診断した.妊娠35週3日に選択的帝王切開術を施行した.いずれの症例も分娩前に診断し,生児を得ることができたことから,各施設で前置血管のスクリーニング体制の構築が望ましいと考えられた.

Key words:Vasa previa, Placenta previa
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