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第52巻 第1号

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症例報告
事実婚カップルの体外受精・胚移植症例からみた当科独自の対応マニュアルの意義
和田 篤1), 岡本 一1), 前山 哲朗1), 北 直喜1), 越智 有美1), 相野谷 陽子1), 川崎 彰子1)2)
1)筑波学園病院産婦人科
2)筑波大学医学医療系産科婦人科学
関東連合産科婦人科学会誌, 52(1):145-153, 2015

 2014年6月,日本産科婦人科学会は体外受精・胚移植被実施者の対象に事実婚カップルを容認した.
 わが国では体外受精・胚移植被実施者に法的制限はなく,日本産科婦人科学会の会告遵守の範囲で会員の判断に任されている.当科においては2006年より独自の対応マニュアルを作成し,事実婚カップルを受け入れてきた.今回このマニュアルに沿って体外受精・胚移植を施行した事実婚カップル1症例を提示し,本マニュアルの必要性について述べる.
 症例は妻29歳,未入籍.夫57歳,26歳時に脊髄損傷にて射精障害あり.今回,挙児希望にて当院初診となった.医師および不妊カウンセラーより当科の事実婚の認定条件(同居していること,重婚でないこと,夫の子への養育意思があること)を提示し,また事実婚カップルから生まれた子どもに法的差別があることを説明した.説明後も事実婚のまま治療を行う意思が強かったため,後日,カップルの住民票および戸籍謄本を確認した上で治療を許可した.
 治療は精巣内精子採取術にて回収,凍結融解した精子と顕微授精を施行,初期胚移植を実施したところ妊娠成立し,生児を得た.
 事実婚カップルはどちらか一方しか親権者になれず,夫が認知しない限り法的父子関係は成立しない,また寡婦控除が認められないなど民法,税制上で未だ差別が存在する.従って生まれて来る子どものためにも慎重な対応が必要である.

Key words:common-law marriage, legal marriage, extramarital child, legal discrimination, IVF-ET
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